ラヴニールの思いについて書いたwordデータが出てきたので。。

以下1年ぐらい前に書いた取材用のwordデータです。


お店のこだわり
コーヒー業界はサードウエーブの時代と言われています。簡単にいえばそれぞれのコーヒーが持つそれぞれのユニークさを愉しむ時代です。農作物であるコーヒーのユニークさとは、品種、産地の風土気候、栽培環境、精製方法、輸送環境など様々な要因が作り上げます。故にコーヒーも従来の原産国がどこかという情報に加え地区指定、農園指定がスタンダードになってきました。
とここまではよく雑誌などで目にしますが、その先の工程も実はコーヒーにとって重要な要素なのです。その先の工程とは焙煎で、その先が抽出です。サードウエーブの時代に入り焙煎は素材(豆)のユニークさを素直に表現させることが重要になってきました。抽出法にも同じことが言えます。
カフェラヴニールでは店内に焙煎機を設置し、少量ずつ必要な分だけ農園もしくは生産地区指定のコーヒー生豆を焙煎します(大量生産・大量消費の時代をファーストウエーブと言います)。カフェではその豆をご注文いただいてから挽いて主にサイフォンもしくはエスプレッソで提供しております。ご要望によりフレンチプレス、エアロプレス、ペーパードリップでもお出ししております。上質なコーヒーをご来店いただくお客様に召し上がっていただくために届いた生豆の状態から抽出まで管理することが1杯のコーヒーの完成度を高めると考えるからです。
岡本出店の理由
現在のカフェラヴニールがある岡本の街には実は数回しか訪れたことがありませんでした。生まれ育った神戸に店を移したいと考えたとき、神戸らしい街並みを探しました。三宮から南へ下った神戸港開港以来の倉庫街’磯上’、酒蔵の街’御影’などを歩きました。
そんな中、カフェ・お菓子・パンの街イメージを持っていた岡本の街を改めて歩くと、石畳が敷き詰められた街並みに心惹かれました。イメージ通りカフェが多い街でした。しかし自家焙煎店はなく、なんだか残念な気持ちになったことが今でも思い出されます。それは岡本の街で自家焙煎をすることになる動機づけになりました。パンやお菓子が焼き上がる香りに包まれたこの街にコーヒーの香りもプラスしたらなんて素晴しいだろう。そんなことを思いました。
提供したいサービス
「生簀のあるお寿司屋さんのようなコーヒー店」
新鮮なのもを新鮮なうちに、素材にあった調理方法でおいしいものを食べさせてくれる、ネタはもちろんシャリやタレにも手抜きなしのお寿司屋さんのような珈琲店であり続けたいと思っています。
それが15坪足らずの小さな店舗に焙煎機を店内に設置し、ミルを3台置き、3連のエスプレッソマシンと5連のサイフォンテーブルを置く理由です。
社会貢献
職業を通じて社会貢献をしたいという思いがあります。私の毎日を支えてくれる大切な業(ワザ)がコーヒー作りです。この技を社会のためにも活かしたいという願望は長く抱えていましたが、2012年3月、東日本大震災を受けての復興支援バス(岡本商店街主催)で初めて想いは形になりました。私はドリッパーとサーバーを3セットと小型業務用ミル1台、復興への願いを込めて焙煎したコーヒー豆を持ってバスに乗りました。行先は宮城県気仙沼市の仮設住宅。集会所で淹れたてのコーヒーを振る舞いました。コーヒーという飲料は、遠く離れた神戸からやって来た私たちと仮設住宅の皆さんと心を通わせる心の潤滑剤になってくれました。
教育について
神戸国際調理製菓専門学校で喫茶学という講座の外部講師をさせていただいています。調理師・製菓衛生士の免許取得と関連技術の向上を目指す学校なので、喫茶学はいわば副教科ですが、料理や菓子にはコーヒーが(喫茶学なので紅茶も教えていますが…)付き物です。食後の口直しや、スイーツをおいしくする相乗効果を期待して出される場合が多いのですが、実際に食後のコーヒー、紅茶に知識を持ちこだわっているお店はそう多くありません。個人的に飲食したレストランやパティスリーで残念な思いをしたことが少なからずあるのです。飲料についても知識と技術を習得すればコストを懸けずとも料理や菓子の価値を高めることが出来る方法はあるわけで。専門学校を卒業して料理、菓子の道に進んでいく生徒たちに伝えたいことがたくさんあるのです。
材料のとしての可能性
嗜好飲料としてコーヒーを愉しむということのほかに、コーヒーの材料としての可能性にも興味があります。例えば製菓材料として。香りづけにつかわれることが多いですが、ではどのような香りをもたらすためにはどの生豆をどのように焙煎し、どのように抽出液を作るか。
例えばカクテル材料としてならベースの酒を引き立てる風味を得るためのコーヒーをどう選定するかなど。興味は尽きません。
機器について
カフェラヴニールには焙煎機1台、開発に携わった新式ガスサイフォンテーブル1台、ミル3台、3連エスプレッソマシン1台が設置しております。どれもお客様にコーヒーを愉しんでいただくための大切な道具です。私の道具選びは「こんな風につくるためには」というところから考えます。機器には長所と短所があるもので、、作りたいものの“こんな風に”にその長所の焦点があっているものを選んで使っています。
失伝した技術を取り戻したい
柔道と空手道を稽古していたことがあります。もともとはどちらも徒手格闘の技術。組技と寝技が発達したのが柔道で、打撃技が発達したのが空手道です。空手道を稽古することが柔道の上達に生かされたり、柔道を稽古することで空手道の上達に生かされたりすることがよくありました。そんな経験から・・・お客様をおもてなしする→飲食物を供じる→飲料を供じる→コーヒーを供じる・・・というような系譜を考えることがあります。私はバーテンダーが使うシェイク、紅茶店が使うダブルクーリングなど異業種の方の技術をおいしいコーヒーを作るために日常的に使用しています。
視野がコーヒーについてだけになると見えないことが系譜を遡ることで見えてくることがあるからです。幸いにも私には相談しあえる異業種の技能者の友人が多くできました。モノづくりという共通項があるため、専門的な話も興味深く語り合えます。
岡本の街は、神戸にはめずらしく業種様々な個人商店があります。お店どうしの交流がどこか懐かしく、1軒1軒が街のコンシェルジュの役割を担っています。カフェは多くに人が集まる場所です。岡本の街の楽しみ方などもご案内できればと思っています。岡本のマスコットキャラクター「石だたみ君」のドリップバッグを2012年より製作しており、街を知ってもらうきっかけとして当店及び岡本の物販店で販売しております。お土産ものもホンモノを提供したいと思っております。

feedly | RSSを登録 follow us in feedly