コーヒーのエージングについてです。
まずコーヒーの風味を悪くする原因に酸化がありますが、
今回は酸化以外の風味の変化に着目した検証です。
写真は 2014年6月20日焙煎のエチオピア・イルガチャフィーです。
焙煎後すぐに酸素と二酸化炭素を吸着するコーヒー専用の鮮度保持剤を入れて蒸着しておいたものです。
写真では真空パックにしてあるように見えますが、鮮度保持剤で酸素と二酸化炭素が吸着されてこのような形になったものです。
これで酸化以外のエージングによる風味の変化を検証していきます。
これを焙煎から10日間、密封瓶にいれて保管したものとカップテストで比較していきます。
外観ですが特にオイルが浮いてきている訳でもなく見た感じの違いはありません。
(右側が2014年6月焙煎のもの)
挽いて粉にした時の香りは
2014年焙煎の豆は焙煎後10日のものと比較して
香りがかなり詰まっている印象で、強く、重たく、複雑。
焙煎後10日のものはやさしくて比べると軽い印象。
意外でした。
同じエチオピアの豆ですが、2014年焙煎のものはケニアの風味に近い印象の
ジャスミンやグレープフルーツを連想する香りで、
焙煎後10日のものはマンダリンオレンジやハチミツを連想する香りです。
次に粉にしてお湯を注いだ状態の写真です。
(右側が2014年6月焙煎のもの)
深く焙煎していないのでもともとそんなにガスは出ないのですが、焙煎後10日置いたものと比べても特に違いはありません。
そしていよいよカップテストです。
点数で違いをつけるほどではないですが、フレーバー(お湯を注いだ後の香り)も2014年焙煎の方が複雑で力強く、良い印象。
しかし酸の質では、2014年焙煎のものは明るくて複雑ではあるのですが、舌に突き刺さるような鋭い印象で評価が落ちます。
焙煎後10日の方は複雑さでは劣りますが、甘みを伴った柔らかい酸でこちらの方が好印象です。
口に含んだ質感は2014年焙煎の方は、ざらつきを感じる粗い印象です。
焙煎後10日のものは、丸い口当たりで後口が長くやさしい印象です。
甘さは焙煎後10日のもののほうが際立っています。
2014年焙煎のものは、バランスでは複雑でボリュームのある香りは魅力的なのですが 、酸の鋭さが際立ちすぎて偏った印象です。
焙煎後 10日のものは甘さが全体をまとめてエチオピアの柑橘系の酸が映えてバランスの良い味わいです。
全体的にみると2014年焙煎のものは香りは魅力的で力強いですが、後口に劣化が見られ温度が下がるとそれが際立ってきました。
10日前焙煎のものは、最初の香りの印象は比較すると弱くて地味な印象でしたが、甘さが全体をまとめてエチオピアの魅力である柑橘系の香りと酸が心地よく感じられました。
2014年焙煎のものはカップテストの点数では10日前焙煎のものと比べて100点満点で6点低く、原因は鋭い酸で全体のバランスが崩れていることと、口に含んだ時のざらつき感によるものです。
しかし香りだけをとると点数上には表れてこないものの2014年焙煎のほうが魅力的でした。
結果は「こうなるはず」で終わらせず、実際に検証して体験してみるとおもしろいことがたくさんあるものです。