焙煎のお話

営業中に焙煎をしていると
「焙煎でコーヒーの味が変わるんですか」と聞かれることがあります。
答えは……「変わります。」
厳密に言うと焙煎前の処置の段階から変わります。
焙煎のお話
具体的に何が変わるかというと、
①風味の持続力
焙煎されたコーヒーの断面を拡大してみると蜂の巣のよう(ハニカム構造といいます)になっています。この蜂の巣の部屋に風味が蓄えられています。短時間の急な加熱によりその壁が破壊されると風味の抜けが早くなると共に、酸化(不快な酸味の発生)も早くなります。
②風味の発達
コーヒー豆は必要なところで十分な熱を得られなければ、繊維も開かず風味も発達せず渋く青臭く香りも弱いものになります。
熱のかけ方と、焙煎時間のコントロールが焙煎の要といえます。
③焦げの発生
焼き始めから強い火力をかけると外側だけ焦げてしまい後口の悪いコーヒーになります。
④欠点豆・異物の混入
これは焙煎前の処置の話ですが、コーヒーは農作物なので傷ついたもの、豆の中に虫が侵入しているもの、カビが発生しているもの、栄養不足等で十分に成熟していないもの、枝や果肉、時には石や他の穀物などが混入している場合があります。これらを一緒に焙煎してしまうと心地よい香りを阻害したり、食感にざらつきを感じたり、不快な苦味が発生したりということになります。焙煎前に異物やダメージを受けた豆を取り除くことをハンドピックと言います(焙煎後にも煎りムラを取り除くため行います)。スペシャルティコーヒーでは混入はずいぶんと少なくなりましたが、焼いてしまうと分からなくなるダメージもあるので重要な工程の一つです。
では、良い焙煎がなされた豆とそうでない豆との見分け方はというと外見では分からないことが多いです。購入後の風味の劣化のスピードや、後口に不快感が残らないかどうかなどに気をつけてチェックするのがよいと思います。

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